それから、この「子宝騒動」の活弁をさせていただくたびに思い出すことがあるんです。我が家の蔵で飼っていた豚のことです。(映画では、豚の争奪戦が繰り広げられます)
たった1頭だけですが、食事が終わると「これを豚にあげてきて」と言われて、料理の際に出た野菜の切りくずや残飯を手渡される。それを豚に食べさせるんです。
そうやって育てた豚が、大きくなるとなぜかある日突然いなくなってしまう。そして、代わりに子豚が連れて来られているんです。それが子どもの頃はとっても不思議でしたね。今にして思えば、無駄を出さず利をあげる生活の知恵(笑)。
残飯は豚の餌になるだけではなくて、畑の肥料にもなりました。今で言うリサイクルです。畑で獲れたものがまた畑にかえって、次の野菜や穀物を美味しく育ててくれる。そういう循環が当時の生活にはあった気がします。
水道の水も本当においしかったと記憶しています。鳥海山あたりから流れて来る水を水源にしていたと思うのですが、とにかく、自然に囲まれた田舎の水道水は美味しいと感じていました。けれど、近年、帰省するたびに「あれ、こんな味だったかな?」と思うようになって。ショックを受けると同時に、水を使う私たちの責任を痛感しています。
今回のセミナーのテーマにもあるように、水は一度使ったら終わりではありません。絶えず循環しています。だからこそ、私たち一人ひとりが水の使い方に気を配るべきだと思っています。
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